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【tkk File24】農園支援プロジェクト 〜現地視察レポート 前編〜

先日(2021/12/11〜12)、山形県天童市の現地視察をさせていただきました。

これまでthomasの代表担当者1名で天童市への訪問や収穫等をしていましたが、今回はthomasのメンバーひとりひとりに、「農業の現状を現地で、肌で感じて、課題意識をみんなで共有しよう!」という目的のもとtkkメンバー全員で訪問する機会をいただきました。

今回のブログでは、今までは写真でしかみたことがなかったラ・フランスの樹や耕作放棄地などを実際に拝見し感じたことを、現地視察を参加した6名のメンバーからのレポートとして前編・後編に分けて公開します。


天童市は、寒い冬のイメージとは裏腹に、私たちを快晴の空で出迎えてくれました。これからの現地視察に、期待と興奮をもたらすお膳立てをしてくれたようです。
わたしは6月、10月、そして今回で3度目の訪問の訪問になります。

特に今回は、thomasの仲間たちにも“現物”“現場”“現実”の「3現」を伝え、みなさんにも主体性を持って共通話題が出来る時間として位置付けをしてみました。
DEWA Valley Farm supported by 東海林果樹園(以下DEWA Valley Farm)の東海林さんには、わたしたちの取組をしっかり理解していただいた上で、視察前からスケジュール、プランニングを考えていただきました。東海林さん自身も『きっかけ』作りを予めされていたようです。
ご自身の事だけでは無く、わたしたちが支援策としてトライアルでドライブを始めた、「果樹のオーナー制」の件では、賛同していただけそうな仲間、”洋なし屋”代表の寺岡さんをご紹介していただき、打合せにも参加していただきました。同じ様な支援企業にお声掛け可能なところまで進められた事は、非常に有意義な機会だったと感じました。
本格的な地域貢献へ、また一歩着実に歩んでいる実感もしました。

また、今回の訪問では、中長期的支援策として、耕作放棄地活用の天童産アーモンド植樹計画も現場を視察しました。

農業委員会の今野様から切実な天童市の問題をお聞きすることもできました。
今野様によりますと、「 相手が自然と、植物ですので、言葉が通じないのは当然ですが、必ずしも答えがあるわけではありません。それだけに常に学びの姿勢から、多くを感じ体験し続ける事、そしてアクションしていく事が重要だと考えています」
今回、thomasの仲間たちで訪問し、視察出来た事に価値があり、この体験をまた多くの人に伝え続けていきたいと思います。


山形県天童市視察レポート

12/10~11 の2日間、tkkの一環として山形県天童市の農業地域を視察しました。
そこで見えてきた、農家の方々が抱えている課題としては以下のようなものが挙げられました。
•耕作放棄地の増加
•新規就農の少なさ
•収入の不安定さ
•既存農家の高齢化 
これらの問題はそれぞれ独立したものではなく、互いに関連するものだと考えます。

高齢化に伴い、体力の衰えや病気などで農地の管理が難しくなり、耕作放棄地が増加していく。
天候や鳥獣被害に左右される収入の不安定さにより、新規就農のハードルがより高く感じられてしまう。
新規就農者数が伸び悩むことで、農家の高齢化はますます加速していく…

こうした現状については、日本の農業が伝統的かつガラパゴスな業界であることに依る部分が大きいと感じました。
(私自身、家業でない場合にどうやって農業を始めるのか、どのように生計を立てていくのか…といったことについて、知らないことが非常に多くありました)

しかし裏を返せば、農業は非常に可能性に溢れた業界であるとも考えられます。

耕作放棄地の管理について、場所や状況、所有者などについてデータ化し、手続きにかかる煩雑な部分を減らしていくことはできないか。
新規就農に必要な手続きや空き農地の情報、先輩農家のノウハウなどをまとめたプラットフォームの作成により、新規就農のハードルを下げる工夫ができないか。
tkkでトライアルとして取り組んだ果樹のオーナー制のようなビジネスモデルで、変動の大きい部分以外で農家の収入安定化を図れないか。

農業が抱える課題の解決に向け、引き継がれていくべき伝統については今後も尊重していきつつ、ビジネスやデジタルの視点で見えてくる前向きなアイデアを提案し、実現していくことが私たちにできる大切なことなのだと思います。

tkkの取り組みが、今まで別世界のように見えていた農業との架け橋となれるよう、今後も推進していきたいです。


わたしが今回の視察で特に考えさせられたのは、立派に整備された果樹園に隣接する「耕作放棄地」についてでした。
果樹を抜根し整地された状態で遊休地となっていればまだ良い方です。
目の当たりにしたのが、ビニールハウスの骨組みなどが放置された上で、果樹の一部が残ってはいますが、むしろ雑草が生い茂っているというような状況でした。
こうした耕作放棄地が農地の近くにあることで、病気が蔓延したり、イノシシなどの害獣の拠点になってしまい農地が荒らされるリスクが増すそうです。
耕作放棄地が発生する背景には、農家さんの高齢化により手入れが出来なくなってしまうことや、地主の方が亡くなられて相続された後継者が既に都市部に出てしまっていることなど、様々なケースがあります。
「耕作放棄地になる前に次世代に運用を引き継げないのですか」と若手農家さんに尋ねてみましたが、農家さんが突然亡くなられてしまうケースのように、ある日突然耕作放棄地になってしまうことも多く、計画的に事業承継を行う(または事業を畳む)ことの難しさを感じました。
視察の中で、農業は農家さん個人個人が所有・整備する土地だけで完結する仕事ではなく、農薬散布や水利や人手の融通など、隣り合った方々との関係性の上で成り立つ事業であることを改めて認識しました。だからこそ、止むを得ず自分の農地が手付かずになってしまう状況は、ご本人としても悔やまれるだろうなと想像します。そうならない仕組みを考えていきたいものです。


以上が3名のレポートです。

今回現地で目の当たりにした様々な課題を、本業であるIT分野からのアプローチでなにか解決できないか、というアイデアがメンバーから上がってきました。

また、課題の中でも「耕作放棄地の増加」については特に深刻で、問題発生の経緯の複雑さや周囲への影響の大きさを考えるに、地域ぐるみで解決しなければならないものであると痛感しています。